南九州のパシフィック
  宮崎を中心とする日豊南線の主役は何といっても門鉄デフを装備した美しいパシフィックです。電化直前の宮崎機関区には10輌以上のC57が配置され、半数近くが門鉄デフを装備していました。中には門司港時代の栄光の特急「かもめ」専用機C5765や国内初のK−1型門鉄デフを装備したC57155など貴重なカマもいました。そして、幸運にも宮崎国体のお召し列車牽引機の整備が進められており、磨き上げられたC57117や予備機C57192を撮影できました。
九州最後となった吉松の2輌のC55は若松からの転属組で、標準K−7タイプ門鉄デフが美しいC5557と試作K−6タイプ門鉄デフのC5552です。吉松では機関区の立ち入り許可が頂けず、水かき付スポーク動輪の美しいサイドビューがなかなか撮れずにいましたが、粘りに粘って入換作業に出たところをやっとものにしました。
注)門鉄デフ(小工式デフ)のタイプ名は有名な関崇博氏の文献(RAILFAN206-1971.1)を参考に表記しました


ホームの真横に見える機関区の機待線には門鉄デフのC57がずらりと並ぶ。左から小工式デフの草分けK−1タイプを装備したC57155、唯一のK−5タイプを装備した旧「かもめ」占用機のC5765、宮崎国体お召し本務機のC57117は小工式標準のK−7タイプ。九州のカマは見事に磨き上げられていた。    1973.4.3 宮崎






引込線の客車を引き上げるC57155[宮]。前方デッキ上から垂直のステーをもつデフは一見長工式だが、このタイプは試験的に製作した初めての門鉄デフ(小工式デフ)K-1タイプで、昭和27年にC57150、155に装備された。  1973.4.3 宮崎






門司港時代にはC5711と共に栄光の特急「かもめ」占用機だったC5765[宮]。デッキ傾斜部から特異な形状のステーをで支持されたデフは本機のみがもつ小工式K-5タイプ。円弧状のデフにドイツ国鉄01、03などの影響を垣間見ることができる  1973.4.3 宮崎






初めて見る4次型のC57199[宮]。宮崎には192、196、199の3輌の4次型が配置されていた。196以外は標準型のデフを装備していた。 1973.4.3 宮崎






C57199は標準デフで給水ポンプ上のランボードがカットされているが比較的原型に近い。小さい密閉キャブにタブレットキャッチャーを取り付けたために側面のナンバープレートが前方に飛び出している。先輪がスポーク車輪のためか下廻りが軽快に見えた。 1973.4.3 宮崎






日南線の列車を牽いて宮崎に現れる志布志支区のC11。 1973.4.3  宮崎






標準デフを装備した1次型のC57113[宮]。デフのバイパス弁点検窓に蓋がされたタイプ。宮崎のC57は勾配区間を走るためか、砂撒管が増設されて3本になっている。 1973.4.3  宮崎






3次型のC57187[宮]は昭和41年まで新津に配置されていた北国のカマだ。見事な九州型に改装され美しく磨かれているが、ドーム前につく長野工場タイプの手摺に新津時代の名残がある。 第二先輪がスポークに取換えられている。 1973.4.3  宮崎






宮崎国体のお召し本務機となるC57117[宮]は標準型K-7タイプの小工式デフを装備した代表的な九州タイプの1次型C57。お召し装備はほぼ完了し美しい姿を見せていた。こちらは第二先輪がプレート車輪に取換えられている。 1973.4.3  宮崎






宮崎国体のお召し予備機となるC57192[宮]は標準タイプのデフを装備した4次型C57。煙突、デフ、窓廻りに金色の装飾がなされ、お召し装備の美しい姿を見せていた。こちらは第一先輪がスポーク車輪に取換えられている。 1973.4.3  宮崎






宮崎国体のお召し列車は山野線でも運転され、牽引機は吉松のC56重連だったと記憶している。この美しく整備されたC56111[宮]は長野から転属してきたカマだが、重連の次位か予備機ではなかっただろうか。 1973.4.3  宮崎






4次型で唯一の門鉄デフ装備機のC57196[宮]。デフは小工式K-9タイプに分類されるもので、有名なC59124と同型。基本型のデフの一部を流用している。 1973.4.4  隼人






標準型のデフを装備した1次型のC5766[宮]。美しく磨かれたC57だが、標準デフでは何か物足りなさを感じる。 1973.4.2  田野






宮崎駅周辺をロケハン中突如現れた貨1590レを牽くC5552[吉]。標準型の元になったと考えられている試作K−6タイプのデフを装備している。K−6タイプは上下2段に分かれているが、バイパス弁点検の利便性ためか、このころになると下段の後方が撤去されていた。1973.3.31 宮崎






粘りに粘ってようやくものにしたC5557の全景写真。K−7タイプの門鉄デフを装備したC55は九州のパシフィックの中でも最も美しい機関車だったと今でも思う。 1973.4.4  吉松






C55が最も美しく見えるサイドビュー。生きた1750mmの水かき付スポーク動輪の最後の姿を自分の目で見ることができた幸運に感謝した。 1973.4.4  吉松







inserted by FC2 system