C571のお召列車
  1972年5月に新潟県の黒川村で開かれた植樹祭のため、鉄道ファンが夢にまで見た(言いすぎかな?)C571の牽くお召し列車が運転されました。当時がSLブームの最盛期であったことは確かですが、だからといって、これは簡単に実現するような類のことではありません。おそらく国鉄や鉄道友の会など、関係者の情熱と一方ならぬ努力があったのだと思います。私は蒸気機関車熱が少しさめていた時期だったのですが、最後となるかもしれない蒸気機関車牽引のお召し列車です。この時ばかりは出かけずにはいられませんでした。初めてカラーフィルムを購入し勇んで新津へ出かけました。 1972.5.20 ,22






機関区の関係者の方々が記念写真を撮影されていました。






新津の扇型機関庫は14番までありますが、一番右端の14番庫は点検整備施設のある庫らしく、奥に機関庫裏の留置線へ通じる扉がありました。夏場にはよくここで休車となった96やC57の写真を撮った広々とした場所でしたが、新津機関区のご好意によりここを撮影用のステージとして公開して頂きました。





この頃の記憶はかなり曖昧なのですが、記録ではお召し列車が運転されたのは5月20日です。ところが、ネガの袋には5月22日の日付が記されており、本人もこの写真を何時撮ったのかがよくわかりません。機関区の方がキャブの前で記念撮影をされていたので、おそらく当日の写真だと思うのですが、このアングルの手前側にいたファンは50人もいなかったような気がします。





晴舞台のために整備されたC571は、煙突、デフ、シリンダー、ボイラーバンド、窓枠などに金の縁取りを施し、キャブの窓枠はニスで木目を光らせていました。また、足回りも、車軸とフランジを銀色、ロッド類の溝にグリーンを入れ、従台車やテンダの台車にも金の縁取りがありました。お召し専用機の写真は写真集で見てはいましたが、まさか本物を見るチャンスに恵まれるとは思いもしませんでしたので、この日C571の姿は一生の思い出です。










新津駅を発車し、機関区前の羽越本線大築堤を力行で上るお召し列車の雄姿。警備の職員は写っていますが、機関区に近い手頃な場所でお召し列車の走る姿をカメラに収めることができました。3輌目が御料車ですが、天皇陛下の姿を拝見したような気がするのは、本当のことだったのでしょうか。





この時の写真は12枚撮のカラーフィルム1本が全てです。しかし、わからないのがこの写真。前出の村上へ向かう走行写真の後に、新津の給炭ホッパの前で国旗を掲揚した写真があります。当日は雨だったらしいのですが、雨に濡れている様子もありません。C571のみ新津に回送されたのか、それもさっぱりわかりません。






このお召し仕様のC571の姿は翌月の「鉄道ファン」誌の表紙を飾りましたが、それは何と一枚目の写真とほとんど同じアングルで、一人喜んでいたことを覚えています。この翌年に高校の卒業旅行で行った宮崎機関区で、お召し用に整備されたC57117を見ましたが、国旗を掲揚した本物のお召し列車を見たのは、後にも先にもこれしかありません。





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