新津機関区(1)
  新津は私の鉄道趣味の原点ともいうべきところです。この時期でも数多くの蒸気機関車を擁していた新津機関区は、新津駅構内から新潟方向に向かって少し離れた現在の運輸区と同じところにありました。新潟を出発した信越本線の列車が新津駅構内に進入する手前で必ずラウンドハウスの真前を通過するため、小さいころから汽車で出かけるときは新津が近づくと、いつもどきどきして進行右側の窓に顔を付けていました。
私が新津へ通い始めた1967年ころは、新津にはC57、D51が数多く配置され、主に羽越本線、磐越西線で活躍していました。当時はこの他に赤谷線用のC11245,269と入換用の9600が5輌配置されています。同年代の方がご存知の「ヨンサントオ」昭和43年10月のダイヤ改正で、C57の数が大幅に減らされたにもかかわらず、酒田のC57が多数新津へ転属したため、一時的に新津のC57が増加して驚いたこともあります。入換用の9600は、DD14、DD15などの除雪用DLが山へ行ってしまう冬季のみ稼動することをその年の冬に初めて知り、狂喜して新津に通いました。
このころはSLブームが過熱する少し前だったため、構内への立入りは比較的自由でした。当時は中学生だったこともあり、機関区事務所へ挨拶に伺うと、珍しいお客さんが来てくれたと、いつも暖かく迎えて頂いた記憶があります。「安全には十分注意してください」という言葉と許可の腕章を頂くだけで、構内のどこへでも自由に行くことができた夢のような時代です。
ブームの異常な過熱や受検などによって鉄道趣味から遠ざかったのも早かったので、私は新津の最後を見届けていません。1972年5月にお召列車を牽いたC571の撮影行が私にとって最後の新津機関区となりました。


新津機関区のラウンドハウス三角屋根と櫓のような煙突が特徴だった。低屋根が8番までで14番は奥の研修庫と機関庫裏の留置線へつながっていた。 現在は右端の一部が残るのみだ。   1968.8.15






新津機関区はテンダ側を正面としていたのがとても残念だった。左からC57180, D5182, C571, C57186, C57182 5輌の蒸気機関車のうち、2輌が動態保存機だ。 1969.9.14






夏の朝日を真横から浴びて仕業点検中のC571。方向からすると、今日は羽越線の仕業だろうか。 1969.8.17






ターンテーブルに進入するD51290[酒] 日中の機関区は比較的静かな印象がある。 1969.4.29






転向中のC57189[新]は3次型のラストナンバー。冬は機関区内も薄暗くて中々明快な写真が撮れない。作業員の服装が季節を感じさせる。昭和44年のクリスマスイブ  1969.12.24






転向するD511031[新]は新津の古参D51だ。戦時型D51のテンダは背が高く安定が悪かったとこれも古参の機関士から聞いて納得した。 1969.12.24






ところ狭しと並ぶC57とD51。これが「ヨンサントオ」直後の新津の様子だ。とても数年後に電化が迫った機関区とは思えない賑わいがあった。 1969.4.29






新津の給炭塔は、ラチストラスの古いものと逆L型ラーメン脚をもつ新しい溶接構造のものがあった。資料館の写真では半分を造り替えたらしい。機関車が多い割には給炭線が1本なのが不思議だった。    1969.4.29






給炭中のC57181[新] 円形のバルブを回して石炭ホッパを開口する。スクリーンセーバーのように曲がりくねったパイプは重油パイプと思われる。 1969.12.24






古い給炭塔に接する点検台の周辺には各種の設備が並ぶ。左が給砂塔中央に重油バルブと給水スポート丁度重油バルブの下が広々としたアッシュピットになっている。 奥はD511060[新] 1969.9.14






回転火粉止(通称クルクルパー)を点検中のC57 旧型の給炭塔の石炭吐出口が見える。 1969.4.29






点検台の49690[新] このころになると9600の前後は警戒塗装となって見苦しい。手前の山はアッシュピットから掘出した石炭がらだ。 1970.12.20






定位置で煙室扉を開けて掃除をするD51135[新] この位置からだとアッシュピットがよくわかる。D51135は長工式デフをもつ特徴あるカマだった。 1969.9.15






戦時型D51一色の留置線 D511133[酒]は給油中だろうか。手前では火床整理の後始末 1969.8.14






D511049[新]も新津に長く所属した戦時型だ。上空を横断するのは重油パイプ。 1969.8.14






給炭、給水、給油と火床を整えたD5136[酒] これから出区線へ向かうところだろうか。 1969.4.29






信越線の車窓から、新津駅側より望む機関区。D51の影で点検台が見えないが全景がわかる。左側は山から戻ってきたDD1521[新] 1970.8.14




           


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